◆「雨降る日々の合間の散歩道(Escape From The Schedules, Caught By The Sudden Shower)」
「『今日は概ね晴れますが、
雨が局地的に降るでしょう』と言う
ラジオの天気予報には
もっと真剣に耳を傾けておくべきだった。
傘を持たず出歩いた日に限っていつも
僕の頭上に雨が降る。
雨続きの日々の雲の隙間から
ほんの僅かな青空が覗いていたから
時計を鳥籠の中に閉じ込めて
思うように進まない予定を放り出して、
久し振りのささやかな散歩を
楽しむつもりだったのに。
宝箱を活用した
ギャラリーすぐ脇の
販売所のカラーチップでさえ
気まぐれな雨に濡れてしまわないように
翼の生えた傘に守られていると言うのに。
ちなみに、カラーチップを買い求めるお客さんは
側に置かれた料金箱にではなく、
傘の方に直接お代を支払っていた。
ギャラリーの向かいに鎮座する
ブリキのオープンカーは
長らく動かしていないのだそうだが、
車体は綺麗に磨かれていて
ゼンマイを巻けばすぐにでも動かす事が
出来そうだった。
目一杯ゼンマイを巻いて
雨雲を振り切って
何処か陽光の降り注ぐ暖かい場所へ
逃れてしまおうか―
そんな事を考えながら
通い慣れた道をずぶ濡れになって
戻ったのだった」
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完成後にA4(210×297)サイズ程に切り取った水彩紙に
水彩絵の具、水彩色鉛筆で描いたもの。
絵自体は「唄う港町の青いジャズの夜(Swinging Port-city And Blue Jazz Night)」と
ほぼ並行して描いていたもので、
完成までに2週間も掛からなかったものの、
諸事情あってこのタイミングでの公開となりました。