◆「ありふれてこそいるけれど、少しだけ特別な夏(CTW's Ordinary Town And Typical Summer)」...
(ある旅行者の手記より)
「満員の乗客を載せて
ビーチリゾートへと急ぐ特急列車は
この街の駅には停まらない。
ガイドブックに載るような
流行りのレストランも
豪華なホテルも
アミューズメントパークもなければ
マリンアクティビティも期待出来ない
この街にだって夏はやって来る。
一見いつもと変わらないありふれた夏。
ビーチボールの惑星が
その大半を占領している
公設プールでは、
泳げないけれども
夏を楽しみたい女の子が
惑星に飛び移るタイミングを
探しあぐねているようだ。
空き地にある
廃材と雲を組み合わせて出来た
子供達の秘密基地では、
自分達が捕まえて来たカブトムシ同士を
対戦させて大いに盛り上がっていたが、
線路沿いで咲いていたヒマワリも
その様子が気になるのかわざわざ覗きに来ていた。
一体何処から放送しているのか
ラジオのアナウンサーが
実況を始めてからは、
対戦はさらに白熱の様相を呈していた。
アイスキャンディを買うために立ち寄った
駅への近道の入り口にある
少しばかりの日用品と食料を扱うお店では
氷の小惑星が
店頭のアイスボックスの中身を冷やす
アルバイトをしていたが、
夏のC.T.W.(Colour-Trash World)では
特に珍しい事では無い。
その背後で
近くの畑で捕れてすぐに
切り分けられたであろうスイカを
載せた三輪トラックが、
一見ありふれてこそいるけれど、
今のこの瞬間にしか感じる事の出来ない
少しだけ特別な夏の空気や時間と共に
ゆっくり通り過ぎて行った。」
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A4(210×297)サイズ程に完成後切り取った
水彩紙に水彩絵の具、
水彩色鉛筆で描いたもの。
名鉄常滑線の前面展望の動画(29:20辺りに
右端にチラッと映る)で、
新舞子付近に差し掛かった時に見えて来る
ヤシの木を見てふと
「こういう感じのものを描いてみたい」と思ったのが
切っ掛けで、
そこから様々なモチーフ類を展開させて
「C.T.W.(Colour-Trash World)の
(都会でもリゾート地ではない)夏の光景」の
ような感じになったか...と思います。
...当初の「新舞子」的な要素は
皆無となりましたが。(苦笑)